水合わせで注意するのは「pHショック」だけじゃない

魚の体内塩分濃度は、淡水魚も海水魚も 約0.9% に保たれています。(人間も同じ)
海水の塩分濃度は 約3.5% なので、海水魚の場合はまわりの水のほうが濃く、体内の水分が外に出ていきますし、淡水の塩分濃度はほぼ 0% なので、淡水魚の体内には水分が入り込みます。
これを調節して 塩分濃度0.9% にしているのが、魚が持っている「浸透圧調節機能」ですね。(人間はお風呂(淡水)に長く入っていると手がふやけてしまいますが、淡水魚はふやけません)

水合わせで大事なのは、通常言われている通り「水温合わせ」と「pH合わせ」が基本ではありますが、それだけでは足りないと思っています。
実際、水温とpHを十分に時間をかけて合わせ、水槽に入れたその日は異常はなかったのに 数日後に落ちてしまうという経験は、この趣味を始めたばかりの頃は何度かありました。

この原因が「浸透圧の急激な変化」ではないかと考えています。(ポイントは「急死ではない」ところですね、pHショックなら急死するかと思います)

上記の経験以降、ウチ(淡水魚)では TDS計を使用して水合わせを行っています。(一般家庭では浸透圧は測れませんが、TDS計が「ある程度の目安」として使えます)
場合によっては事前に袋の水のpHや硬度(GH)を測ることもありますね。(硬度は浸透圧に関係してくるので)

やり方は以下。(水質の適応範囲が通常レベルの淡水魚の場合です)

  1. ショップの水を一部、別の容器に取っておく。
  2. プラケにショップの水と生体を入れて水槽に浮かべ、弱めにエアレする。(このときにTDS値を測っておく)
  3. 水槽の水を少し入れ、入れて増えた分の水を捨てる。(入れる量は、生体の種類や、事前に測っておいたTDS値と水槽のTDS値との差、水温差などをみて加減する)
  4. 3.を繰り返す。生体の動き・体色、特にエラの動きを見ながら、粘膜保護剤を入れる。(時々TDS値を測る)
  5. エラの動きが十分に落ち着いたら水槽に入れる。(水槽のTDS値とほぼ同じになっていることを確認後)

このやり方で今まで問題が起きたことはないので、水合わせ方法としては、まあ、合っているんじゃないかと思います。
水槽に入れられる状態になる頃には、水温も pHも 硬度も ほぼ同じになっているはずですので、pH計も使いませんし GH試薬で測りながらという面倒もありません。

ポイントは4点。

  • ショップの水と自分の水槽の水のTDS値の差が大きいときは、上記 3. で入れる水の量(1回あたり)を少なくする。(その代わりに回数を増やす)
  • エラの動きを見ながら粘膜保護剤を適量入れる。(一度に沢山入れずに、3. をやるときにごとに入れる、または、水槽のほうに先に規定量かやや多めに入れておく)
  • もしエラの動きが悪化してきたら、1. で取っておいたショップの水を一時的に足して、水質を少し元に戻す。(←こういうことが起きないように 3. を慎重にやる)
  • 3. で、プラケに入れた分と同量を捨てるのは、単に プラケの水が溢れないように、ではなく、輸送中(←特に通販の場合)や水合わせ中に出たアンモニアなどの有害物質を捨てるためなので 忘れずに。(プラケに生物濾過装置は無いので、水合わせが長時間になるときは特に注意)

重要なのは、TDS値を目安にしながら「エラの動きを見る」ことですね。(水合わせが適切に行われているかは魚が教えてくれます)
このやり方ですと、水質・水温の差が少ない場合、生体の状態によってはごく短時間で終わります。

水合わせの方法は上記以外にもありますし、生体の性質や水槽環境・水質でも変わってくるかと思いますので、ウチでは上記のようにやっています ということでご参考になればと思います。

P.S.
最近見かける「バケツなどの大きめの入れ物を使った点滴法」のような「水槽の水を点滴し続けていくやり方」(増えた分を捨てないやり方)は、計算すると分かりますが、上記のやり方と比較すると 水槽とほぼ同じ水質になるまでに多くの飼育水が必要になり、その分 時間もかかります。
ウチではこの方法は行わないのであまり詳しくは分かりませんが、水合わせ中に出たアンモニアなどの有害物質を外に出さない点、水温が水槽の飼育水と合わない点、また、水合わせ中に魚の状態を見ていない点、が気になりますね。バケツではエラの動きや体色が見えませんし。(点滴すること自体を否定しているわけではありません)
また、魚の状態も見ずに「○分に○mlずつ入れればOK」などという記事がありますが、これはどうみてもおかしいなと思います。大事なのは水の量ではなくて 魚の状態なので。

P.S.2
TDS計なんてどれでも同じだろう と 始めて買った激安のTDS計は、すぐに使い物にならなくなりました。(安物買いの銭失いですね)
今ではマーフィードのものを長く使っていますが、値の安定性もいいですし 故障もせず、信頼できると思います。

水合わせで注意するのは「pHショック」だけじゃない(追記)

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