このページは、以前飼育していたタンガニーカシクリッドについて、自分なりの飼育・繁殖のコツをまとめたものです。
最近はアフリカンはあまり人気がないようで、ショップでも置いているところが少なくなってきました。ショップやネットからの情報もあまり多くはないので、多少でもお役に立てれば幸いです。
(昔の話しですので情報が古いかもしれませんがご容赦ください)
- タンガニーカ湖産シクリッド飼育の基本
- Neolamprologus ocellatus
- Altolamprologus calvus
- FAQ
タンガニーカ湖産シクリッド飼育の基本
タンガニーカ湖とその水質
タンガニーカ湖は、アフリカ大陸の東中央部にあります。(下の地図の赤い所です)
水深は最深1500mで、淡水湖としてはバイカル湖に次いで世界で2番目の深さで、面積はほぼ九州ほどの広さがあります。
湖は、アフリカ大陸の大地溝帯(グレートリフトバレー)上にあり、現在でも湖底では裂け目が広がりつつあります。
通常、湖というのは、年月を経るうちに、流入する土砂等でだんだんと埋まっていき、何千年、何万年と経つうちに消えていくものですが、タンガニーカ湖は大地溝帯上にあることにより、土砂等で埋められることなく200万年もの間存在し続け、この湖固有の種ができ、独特な生態系を作り出したといわれています。
また、タンガニーカ湖には塩類が多く、炭酸塩硬度(KH)は 15前後、総硬度(GH)は 9~11、pHは 7.5~9.0 と高い値を示します。
水温は、季節や天候により 23~28℃ の範囲で変動します。
導入時の注意
導入時の注意点として、ワイルド物かブリード物か、または、ショップで長い期間飼われていてその水に慣れているかどうか、があります。
この違いによって、最初の水合わせの加減や、どのくらいの期間で理想とする水質までもっていくか、が変わってきます。
したがって、購入の際には、その辺りの事(水質、ストック期間など)をショップの人に聞いておくのがよいでしょう。
ただし、ショップで長い期間飼われていてその水に慣れていても、調子がいいとは限りませんから、魚の状態(泳ぎ方、色艶、特にエラの動き)を見極める目が必要となってきます。
タンガニーカシクリッドは初めてという方は、知識・経験のある方に一緒に行ってもらうのがベストです。
そのような方がいない場合には、ショップに何回か通って、どういう水質だとどういう状態になるか、等をじっくり観察しながら知識・情報を深めていくとよいでしょう。
濾過と飼育匹数
タンガニーカシクリッドを飼育するための最も重要な要素が生物濾過です。
弱アルカリ性の水で飼育しますので、pHが7.0以下では無害なアンモニウムも、7.0以上では猛毒のアンモニアとなり致命的になります。
また、アンモニアの次の段階である亜硝酸もかなりの強毒です。
つまり、魚の排泄物であるアンモニアをいかに早く、比較的無害な硝酸塩にするかがポイントとなります。
したがって、一般的な熱帯魚飼育と比較すると、同じ水量・フィルタ容量では匹数を半分に、あるいは、同じ匹数では水量とフィルタ容量を2倍に、といった位の気持ちで設備を準備してください。
底砂
主に、硅砂やサンゴ砂が使用されますが、頻繁に底砂を口に含んだり掘ったりしますので、ヒレ等を傷つけない為にも、重さの軽いサンゴ砂の細かいものをおすすめします。
サンゴ砂は、次第に表面のカルシウム分が溶けて減ってきますので、サンゴ砂のみで高い硬度を保とうとする場合は定期的な追加・交換が必要になってきますが、実際は、サンゴ砂だけでは補充できないマグネシウム分などの補給のために専用の添加剤(カルシウム分+マグネシウム分+微量元素など)を併用することを考えると、水質維持のための追加・交換は不要です。
サンゴ砂を交換するのは、茶ゴケなどが付いて見栄えが悪くなったときくらいです。
Coral(サンゴ砂) スモール 3リットル(30cm水槽用)
飼育水
アンモニアや亜硝酸を速やかに硝酸塩にできるようにすることは前述の通りですが、その次に重要な要素は、総硬度とpHです。
ワイルド物の場合には実際の生息環境に近い値にしないと調子が悪くなるばかりでなく、病気にかかりやすくなります。ブリード物の場合はそれほど神経質になる必要はありませんが、それでも、最低、総硬度は8以上、pHは7.5以上を保つようにします。
炭酸塩硬度はそれほど気にする必要はありませんが、あまり低いと緩衝作用がなくなりpHが変化しやすくなりますので高めで維持します。
水温は 25℃くらいでよいでしょう。
夏期は、28℃を超えなければ大丈夫かと思います。
なお、驚いたり、ケンカで追われたりすると、かなり大きくジャンプすることがありますので、フタをしていても水槽一杯に飼育水を入れず、最上部から7~8cm水位を下げておいたほうがよいでしょう。
餌やり
飼育する魚が現地で実際に何を食べているかによりますが、魚食性のものを除き、一般的にタンガニーカシクリッドは消化器系が弱いので、消化のよいものを与える必要があります。
植物質主体のフレークフードをメインに、タンパク質を含む顆粒状のものを少々、さらに、ブラインシュリンプを多めに与えるのが理想です。
特に、ブラインシュリンプはいろいろな面で優れた餌です。
栄養価はもちろんですが、水槽内に広く散らばることで、追われて隅のほうで怯えている魚にもいきわたります。
最も注意しなければならないことは、保管時に人工餌を酸化させないことと、また、よく言われる腹八分ではなく、腹五分くらいに抑えることです。(成魚の場合)
稚魚・幼魚の場合は、後々の成長に影響しますので、ブラインシュリンプの割合を多めに、1日2~3回、たっぷりと与えます。
ブラインシュリンプ以外の人工餌では、消化の良い 海水魚用の「SURE」がおすすめです。
ニチドウ 殻無ブラインシュリンプ アルテミア 100 (25g)
ニチドウ 殻無ブラインシュリンプ アルテミア 100 (20g)
照明
アフリカンに関しては、強い照明は不要と考えています。
生息している水深から考えても強い光は当たらないですし、不必要な藻類が発生してしまうことを防ぐ意味もあります。
照明を付けないほうが、魚も落ちつきます。
もちろん、魚の状態を見る(病気にかかっていないか等)ために、一時的に照明を付けることは問題ありません。
エアレーションと水流
アフリカンシクリッドは溶存酸素量を比較的多く必要とすると言われていますが、経験上、強いエアレーションは禁物であると思っています。
強いエアレーションでは強い水流が起こってしまい、魚が休まることができなくなってしまいます。
N. ocellatus は、体型やヒレの形状・大きさを見てもわかる通り、水流がそれほど強くないところで生息しているものと思われますし、N. caudopunctatus は、体型は流線形ですが、複雑な岩組のあるところに生息していることから、現地での水流は弱いと考えられます。
したがって、細かい泡の出るエアーストーンを使用して、やわらかくエアレーションするのがよいと思います。(かなり大きな水槽で、水流のあるところと魚の休むところが適切に確保されている場合は除きます)
また、濾過バクテリア(好気性バクテリア)が十分に働くには多くの酸素が必要です。
エアレーションは魚だけのためではなく、濾過バクテリアのためにあるといっても過言ではありません。
特に、外部式フィルターを使用している場合には溶存酸素量が低くなりがちなので、注意が必要です。
外部式フィルターを使用する場合は、強い水流が起きないように、シャワーパイプの使用をおすすめします。
先端に付属の止水栓を付け、さらに、シャワーとなる穴を既成の数の2~3倍くらい多く空け、シャワーの方向を水面とガラス面との境目付近に向けて軽く泡が立つようにするとよいでしょう。
いぶきエアストーン 丸 直径25 #100
水作 水心 SSPP-3S(エア量ダイヤル調整式) 45~60cm水槽用エアーポンプ
Neolamprologus ocellatus
特徴
Neolamprologus ocellatus (以下、N. ocellatus)は、オスで6cm、メスで5cm位の小型種です。巻き貝の殻がある泥砂地に生息しています。
サイズの違い以外による雌雄の区別は、成魚の場合、オスは背鰭の縁が濃い赤色で、メスは背鰭の縁の後方が白色であることから判断します。
水槽サイズと飼育匹数
Lamprologus の仲間は、同種の、しかもオス同士でかなりキツいケンカをします。
したがって、60cm水槽では オス1 メス2~3、が限界でしょう。オス同士のなわばり争いも鑑賞のうちに入るのでしたら、90cm水槽に オス2 メス5~6、が適当であると思います。
水槽内のレイアウトとなわばり争い
N. ocellatus は、巻き貝に産卵するタイプですので、他の基質産卵性のアフリカンシクリッドを飼育するときのような岩組は必須ではありません。
巻き貝に産卵する種は、貝の大きさに関して2つのタイプがあります。体の大きさに対してかなり大きい貝を好むものと、1匹だけがちょうど入れる大きさの貝を好むもの、です。N. ocellatus は後者です。
また、巻き貝は、産卵床としての役割の他に、オスのなわばりのマークとしての役割と隠れ家としての役割があります。通常、オス1匹で1つの巻き貝を縄張りのマークとします。
音や振動で驚いたときなどは、メスでも一時的に巻き貝に隠れることもあります。
同じ水槽に複数のオスがいる場合、かなりキツい縄張り争いをします。
ただ、ヒレを噛みちぎったりするようなことはせず、口と口でケンカをしますので、ケンカによるダメージはほとんどありません。
レイアウトとしては、隠れ家としての石や岩を2~3個、巻き貝を飼育匹数と同数かそれ以上を、個々を離して配置します。個々を離して配置するのは、縄張り争いを極力避けるためです。
タンガニーカ湖の湖底の写真を見ると、茶色っぽい巻き貝(ネオタウマ)が多く写っていますが、サイズさえ適切であれば色等は何でもよいと思います。
エスカルゴで代用できるとの情報もありますが、一般に食用として売っているものは少し大きすぎるのではないかと思います。
ポイントは「1匹だけがちょうど入れる大きさ」です。
巻き貝を産卵床とするための準備
巻き貝を底砂の上に置いておくと、オスは、巻き貝を底砂で埋めてしまいます。
埋め方は非常におもしろく、まず、巻き貝の底に接している砂を口に含んで外に吐き出す作業を繰り返して巻き貝を徐々に沈めていきます。
このとき、巻き貝の入り口をやや上に向けるようにして安定させます。その後、尾ヒレで回りの砂を巻き貝の上にかけます。
これが、巻き貝を産卵床とするための準備なのかは分かりませんが、私の飼育経験では、オスがこれをしないとメスは近寄ってきません。
また、巻き貝の中の水が止水とならないよう、所々に1mmくらいの小さい穴をあけることをおすすめします。
現地では当然穴はあいていませんが、産卵後、巻き貝を取り出して人工孵化を行う場合は、この穴による通水性が卵がカビるのを防ぎます。
産卵
メスは、お腹に卵を持って産卵できる状態になると、オスが埋めた巻き貝に近寄っていきます。
そうすると、オスもこれに応えて近くに行きます。
次に、メスが、埋められている巻き貝の入り口の部分にある砂を口に含んで外に吐き出す動作を繰り返し、自分が巻き貝の中に入れるスペースを確保します。
このとき、巻き貝は、入り口を除いて、砂に埋まったままの状態です。
メスが入れるスペースを確保すると、巻き貝の中に入って産卵します。
このとき、オスは、巻き貝の上にいて周囲を警戒します。
メスは数十秒で外に出てきてしまいますが、オスは、メスの腹をつついてさらに産卵を促し、メスはまた巻き貝の中に入っていきます。
これを数回繰り返すとメスの産卵は終わりです。
オスの放精のやり方は2通りあります。
メスが巻き貝から出てきたスキをついて中に入り放精する場合と、メスが巻き貝の中で産卵している間ずっと巻き貝の入り口を塞ぐように位置して放精する場合です。
オスの放精が終わると、メスは非常に強くなり、今まで自分より強かったオスを追い払います。
その後は、メスが巻き貝の上に位置して卵を守ります。産卵数は、若いメスで 10個ほど、十分に成熟したメスで 15~20個位です。
人工孵化と自然孵化
産卵後、いつまでメス親にまかせるかどうかは、飼育者が「どうしたいのか」によって変わってきます。
経験上、メス親にまかせている日数が長いほど、残る稚魚の数は少なくなります。
孵化後、ヨークサックが無くなってからブラインシュリンプを食べに巻き貝の入り口付近まで出てくる頃までに、残る稚魚の数はほぼ決まってしまうようです。
つまり、稚魚はヨークサックが無くなった直後からスイスイと泳げるわけではなく、1~2日は巻き貝の中の底のほうに沈んでいるわけで、そのときの生存競争に勝った強いものだけが残ることになります。
人工孵化の場合は、ヨークサックが無くなるのが目に見えるので、まだまともに泳げない稚魚にもブラインシュリンプを与えることができますが、自然孵化の場合は、稚魚が巻き貝の入り口まで出てくるまで何も見えない状態ですので、人工孵化のときよりはブラインシュリンプを与えるタイミングや与える量が分かりにくいです。
なお、自然孵化の場合、メスによっては、または、環境によっては、卵や稚魚を全て食べてしまうことがあります。
特に、産卵回数の少ない若いメスにその傾向があるようです。
子を多く採りたいのなら人工孵化にし、メス親の子育ての生態に興味があるのならそのままにしておく、というのがよいでしょう。
人工孵化の方法
産卵が終了したら、巻き貝を取り出します。
最も簡単な方法は、先にメスを掬っておいて、その間に巻き貝を取り出す方法です。
メス親は卵を守ることに必死ですので、網を入れても逃げず、簡単に掬えます。
その後、巻き貝を取り出します。
取り出したら、巻き貝は市販の産卵ケース等にいれて、少し強めにエアレーションします。
水質を変えないようにするため、産卵ケースは、親魚のいる水槽に取り付けます。
エアレーションが適切でないと、卵がカビたりして孵化率が悪くなります。
水槽に戻したメス親は、産卵で体力を消耗しているので、4~5日ほどはセパレータで仕切るなどして体力を回復させます。
セパレータなどで隔離しないと、オスがまたすぐにメスを追いかけ始めるため、体力が回復していないメスの寿命を縮めるという話も聞いたことがあります。
メスを隔離するにはセパレータをするか、同じ水質の別の水槽に入れるのがよいでしょう。
産卵ケースのようなもので隔離してもストレスが溜まるのか、餌食いが悪くなり体力を回復させることができませんので、これはおすすめしません。
なお、このような人工孵化の場合、メスの体力がうまく回復すれば、3週間後位で次の産卵を行います。
孵化と稚魚の飼育
卵は5日程度で孵化します。
孵化してから3~4日間はヨークサックが付いているので餌は必要ありません。その後、ブラインシュリンプを与えます。
メス親に子育てをまかせている場合は、巻き貝の入り口付近に向けて、脅かさないようにそっと吹きつけるようにします。
稚魚は、ヨークサックが無くなってから1.5cmくらいになるまでは急激に大きくなります。
この間に餌やりをさぼったりすると後々の成長に影響しますので注意が必要です。
1.5cmくらいになったら、親に与えているものと同じものを細かくして与えてもよいでしょう。
それでも、ブラインシュリンプは欠かさないようにします。
(上の写真は、孵化後2ヶ月の稚魚です)
また、人工孵化の場合、孵化日の違う稚魚を同じ産卵ケースに入れるときには注意が必要です。
体長が2倍位を超えると、大きい方が小さい方をいじめることがあります。
いじめられている方は餌を摂るのもうまくいかないので、ますます体長に差が出てきてしまいます。
また、生まれたての稚魚は食べられてしまうこともあります。
Altolamprologus calvus
特徴
Altolamprologus calvus (以下、A. calvus)は、10~13cmの中型種で、左右から押しつぶしたような薄い体型と全身に入るパールスポットが魅力です。
独特な形の大きな口をしており、現地では小型(数ミリ)のエビを主食としているようです。
数タイプの地域変異があるようで、ショップでは、「ホワイト」「ブラック」「ゴールド」と分けて売られています。
ショップで売られているのは、ほとんどが4cm位の幼魚です。
「A. calvus は成長が非常に遅い」とよく言われますが、餌のやり方、つまり、餌をよく食べるような環境作り、が適切でないだけであると思います。臆病であまり活発に動き回る魚ではないので、ブラインシュリンプが十分に行きわたるようにすれば問題なく飼育できます。
水槽サイズと飼育匹数
A. calvus は、他種に対してはほとんどケンカをしませんが、同種間ではかなり激しく争います。60cm水槽では 4~5匹が限界かと思います。
画像いろいろ
FAQ
Q1:「水換えは一般熱帯魚と同じような頻度で行ってはいけない」というのは本当?
これは、「サンゴ砂は ゆっくりと弱アルカリ性になっていくため、頻繁に水替えするとその効果が現れない」 という、サンゴ砂の性質のみを利用して弱アルカリ性の水を保とうとする間違った水質調整・管理の方法です。
弱アルカリ性の水は、サンゴ砂だけでは作れません。
サンゴ砂は、カルシウム分などが溶けて硬度を上げる作用がメインです。あくまでも補助的なものと考えたほうがいいでしょう。
今では、信頼できる水質調整剤がありますので、それらを使うことをおすすめします。
KENTの AF Cichlid Chemistry や Rift Lake Trace Elements、Seachem社の Malawi Buffer や Tanganiyka Buffer などがおすすめです。
アフリカンは、いわゆる「こなれた水・枯れた水」を好むわけではありません。
通常の飼育密度では、週1回 1/3の水換えは必須です。
Q2:サンゴ砂を敷けば、アフリカンに適した水質になりますか?
アフリカンに適した水は、サンゴ砂のみでは作れません。
サンゴ砂は、カルシウム分などが溶けて、硬度を上げる作用(徐々に弱まってきます)がメインです。
pHに気をつかっている人は多くても、硬度に気をつかっている人は少ないと思いますが、アフリカンを調子よく飼育するには、硬度が非常に重要になってきます。
特に「硬度をサンゴ砂のみによって維持しようとすること」に注意が必要です。
大量のサンゴ砂は、硬度の急激な上昇を招きます。
これは、もちろん、サンゴ砂が新品の場合に顕著にあらわれます。
また、サンゴ砂から溶け出していくミネラル分は、日が経つにつれて、徐々に少なくなっていきます。
つまり、新品のサンゴ砂を使う場合は、常に、硬度の変化に気をつけていなければなりません。
そして、水換え時の水の硬度を調整して、結果として、水槽の水の硬度が最適になるようにする、または、サンゴ砂の一部を新品と交換する、などといった、非常に面倒な事になってしまいます。
できれば、サンゴ砂は、ミネラル分が抜けた 使い古したものを使用し、ミネラル分や微量元素の調整には それ専用の水質調整剤を使う、というのが簡単で安心できるやり方だと考えます。
ただ、自分でサンゴ砂のミネラル分を抜くという作業はなかなか難しいので、ショップにお願いするどして、使い古したサンゴ砂を譲ってもらうのがおすすめです。
Q3:タンガニーカ湖モノの餌は マラウィ湖モノと同じでいい?
厳密に言うと、同じではありません。
ショップなどでは、「タンガニーカ湖モノ」「マラウィ湖モノ」の区別なしに餌をあげているところが多いかと思います。(そうでないところも もちろんあります)
この餌の中で、特に気をつけなければいけないものが「赤虫(活き/冷凍)」です。
魚食性の大型魚を除き、プランクトンや藻類などを主食とするタイプの魚が多いのですが、これらの魚に赤虫を与えると「食いつき」はいいのですが、消化不良を起こしたり、腹水症になったりすることが知られています。
フロントーサ(Cyphotilapia frontosa)のような大型のものは、そういうことはないようです。
また、1度に与える餌の量にも注意が必要です。
特にタンガニーカ湖モノは腹5分~7分が基本です。くれぐれも腹一杯になるまで与えないようにしてください。(稚魚~幼魚は除きます)
Q4:底砂にサンゴを使うと魚の発色が悪くなると聞きました。本当ですか?
水質を弱アルカリに保つ目的でサンゴを使うと、そうなる可能性が高いです。
水換えを怠ると水質は酸性側に傾きますが、これを抑えるために、サンゴをどんどん追加する、という人が多くいるようです。(これは間違っています)
上記 Q2 の通り、サンゴには、水質をアルカリ性にする、という効果はありません。
「サンゴは水質をアルカリ性にする」と誤解している人が、「アルカリにならない」といってサンゴを大量に入れると、硬度が急激に上昇して魚に悪影響を与えます。
魚の発色には pHももちろん大事ですが、それよりも硬度が非常に重要です。
硬度が低すぎたり高すぎたりすると、体色がくすんで(黒ずんで)きます。
硬度は浸透圧に影響するので、「体色が悪い」のは「見た目がよくない」だけではなく、「体調が悪い=健康ではない」ともいえます。
まとめ:
というわけで、サンゴは「飾り+ちょっとの効果」程度に考えればいいでしょう。
サンゴを使うことが悪いわけではありません。サンゴだけに頼らなければOKです。
「アフリカン=弱アルカリ性」は間違いではないのですが、本当のコツは「アフリカン=適切な硬度」です。
pHを弱アルカリ性にするのは非常に簡単です。
日本の水道水はほとんどがpH7.0~7.5、つまり、そのままで「やや弱アルカリ性」です。
水槽内でエアレーションしてあげれば pHに関してはほとんど何もする必要はありません。
アフリカン用の硬度調整剤を使って適切な硬度にすることが一番のコツと感じています。