pHを下げるために pH/KHマイナスを使っている場合、その成分によってはリン酸吸着剤との相性が悪いケースがあります。
それは、
pH/KHマイナスの主成分がリン酸である場合は、リン酸吸着剤の作用によって 折角下げたpHが元に戻る
という可能性です。
(もちろん 他の要因でもpHは上下しますが、今回はpH/KHマイナスの主成分に着目しています)
ところが、pH/KHマイナスの主成分は ほとんどの製品に明記されていませんよね。
以前から「主成分がリン酸のpH/KHマイナスには注意!」のようなことを何度か見聞きして 気にはなっていたので、今回は、私が非常用として持っている「セラ pH/KHマイナス」のリン酸イオン濃度を測定してみました。
(私の場合、pH調整は粒ピートを使っていて pH/KHマイナスは使いません、何かあったときの非常用です)
ちなみに、pH/KHマイナスはテトラ社からも販売されていて、公開されているSDS(Safety Data Sheet)から「主成分は塩酸と硫酸」であることが分かっていますので 今回の測定対象からは外します。日本向け製品の裏面に「主成分:塩酸、硫酸」と小さく書いてありますね。
測定内容
- 飼育水のリン酸イオン濃度を測定
- 飼育水を2リットル掬う
- 水槽に使用する「セラ pH/KHマイナス」の標準的な量と同じ比率の量(0.2ml)を、掬った飼育水に入れて軽く混ぜる&数分間放置
- 「セラ pH/KHマイナス」を入れた飼育水のリン酸イオン濃度を測定
要は、pH/KHマイナス使用の前後でリン酸イオン濃度を測定する、という簡易的なものです。
商品裏面の使用方法に従い、「飼育水20リットルあたり 2ml 投入」と同じ比率で、掬った2リットルの飼育水に対しては 0.2ml を入れています。
測定結果
pH/KHマイナス投入前後のリン酸イオン濃度は以下の通り。
投入前:0~0.1 mg/L
↓
投入後:0~0.1 mg/L
考察・まとめ
多少の変化はあるかもしれないと思っていましたが、pH/KHマイナスを入れても リン酸イオン濃度の変化はなく ほぼゼロのままという結果でした。
なお、0.2ml のpH/KHマイナスをさらに追加で入れて測定しても、リン酸イオン濃度は 0~0.1 mg/L で変化なし。
この結果をそのまま信じるとすれば
セラ社のpH/KHマイナスはリン酸を使用していない
ということになります。
つまり、
セラ社のpH/KHマイナスを使って下げたpHは リン酸吸着剤の作用によって上がることはない(と思われる)
ということですね。
(他の要因で上がることはあります)
今回は セラ社のpH/KHマイナスについてのみの測定でした。
セラ社以外のpH/KHマイナスをリン酸吸着剤と併用している場合は、上記と同様の方法で確認しておいたほうがよいでしょう。
(上述の通り、テトラ社製も問題なしです)
最後に
今回の記事は「セラ社のpH/KHマイナスはリン酸を含んでいない(と思われる)」ことの共有であり、pH/KHマイナスを使うことを推奨するためのものではありません。逆に否定するものでもありません。
pH/KHマイナスを使うことによるメリットやデメリットについては、機会があれば別途 記事にしたいと思います。
P.S.
ちなみに、リン酸吸着剤「フォスガード」の説明文(下の写真の赤線部分)には
“It is not recommended for phosphate buffered freshwater.”
と書いてありますね。
(日本語説明文には無いですが…)
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