水草水槽:酸素の気泡を見るための +αの知識と注意点

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水草 酸素 気泡 CO2

水草の葉に酸素の気泡がたくさん付いている様子を見ていると、なんだかホッとしますし、癒やし効果抜群ですね。

最近では、CO2強制添加に使う機器類も昔と比べて安くなってきていますので、多くの方が使っていると思います。

ただ、適切な添加量が分からない、多めに添加しているのに気泡が出てこない、などで悩んでいる方も多いようです。

酸素の気泡を見るためには、まずは 水草が健康に成長していること、つまり、

  1. 光の量
  2. CO2の量
  3. 栄養(=肥料)の量

バランス と、

  1. 適切なpH
  2. 適切な水温

が前提となることはご存じの通りです。

これらの 5つの要素の内、1つでも欠けていると 水草の成長は鈍くなり、気泡はおろか、最悪の場合は枯れてしまいますよね。

上記 5つ それぞれの説明と関連性の説明をすると一冊の本ができるくらいの量になってしまいすので、ここでは、上記のバランスはまあまあ取れている状態と仮定して、

安全に酸素の気泡を見るための「+α」の知識と注意点

について書きたいと思います。

それは、

  1. 夜間(照明消灯時)はエアレーションを十分に
  2. CO2過剰添加による急性CO2中毒に注意
  3. CO2とpHの関係を知る

の3つです。

a. 夜間(照明消灯時)はエアレーションを十分に

光合成の際に酸素の気泡が葉に付くためには、水槽の中の水に溶け込んでいる酸素が 飽和状態 になっていることが必要です。

飽和状態になっていない状態では、葉から出た酸素は 水中に溶け込み(一部は 酸素ガスとして水面から放出?)、気泡としては見えませんので、光合成が始まる前までに 酸素を飽和状態にしておく必要があります。

これが、夜間(照明消灯時)にエアレーションを十分に の理由です。

夜間のエアレーションは、照明消灯時に余ったCO2を水中から追い出す意味もありますが、同時に 水面を揺らすことで空気中の酸素(厳密にはそれ以外の気体も)を水中に溶け込ませるという重要な役割もあります。

b. CO2過剰添加による急性CO2中毒に注意

気泡見たさに どんどん添加量を増やしてしまい、生体(バクテリアも含む)が急性CO2中毒になってしまうケースが多いようです。
(CO2中毒と酸欠は別のものです)

先ほども書きましたが、いくらCO2を多く添加しても 水中の酸素が飽和状態になっていないと気泡は付きません。

高濃度のCO2は 生体の脳や神経などに不可逆的な悪影響を及ぼし、一旦そうなってしまうと元には戻りませんので 注意が必要です。

既に終売となっているテトラ社のCO2濃度試薬の説明書には「20mg/Lを超えると有害」と書かれていましたね。

いろいろなサイトからの情報では、30~40mg/L 以上になると中毒症状が出始めるようです。

現時点で 水中のCO2濃度を計測(=色判別)できる市販の試薬・測定器は、セラの「CO2長期測定試薬」か ADAの「ドロップチェッカー」くらいですね。

普段から多めに添加しているなどの場合や 添加量に自信がない場合は、これらの測定器に頼ってもいいと思います。

CO2チェッカーは、厳密に言うと CO2そのものを測っているのではなく 「CO2以外のpH変動要素を除いたpH計」みたいなものですが、目安として色で知らせてくれるので 必要に応じて利用しましょう。

c. CO2とpHの関係

水中に溶け込んだCO2は、大まかに言うと 遊離炭酸(CO2)と炭酸水素イオン(HCO3)に分かれますが、どのくらいの比率で分かれるかは pH値によって決まります。
(pH8.0を超えると 炭酸イオン(CO32-) という別のものの割合が増えてきますが、ここでは pH8.0以下として考えますので説明上は無視します)

下のグラフの通り、pH6.4(正確には6.37)を境として、6.4より低ければ CO2 のほうが多く、逆に6.4より高ければ HCO3 のほうが多くなります。

CO2 HCO3 pH グラフ

↑ホントは曲線ですが、ザックリとこんな感じです。

ほとんどの水草(=弱酸性を好む水草)は光合成のときに CO2のほうをを取り込みます。 HCO3 を取り込むことは苦手です。

ですので、通常の水草水槽であれば pH6.5以下 にしておくのが、水草自体にとっても 光合成にとっても大事になってきますね。

理屈としては、pH高めならCO2添加量も多め、pH低めなら添加量も低め にすることで、pH値が違っても水中のCO2量を同じすることができますが、pHの値 だけ を見て CO2添加量を決めていくのは危険です。
(CO2によるpH変動は KH(炭酸塩硬度)が関係してきますが、ここでは省略します)

CO2ボンベの消費コストや生体への影響など、添加量を多くするほどいろいろなリスクが高くなりますので、ここは素直に「CO2添加以外の方法で あらかじめpHを下げておく」というのが安全ですね。

こうなってくると、やはり pH計があると便利です。

pH管理が不安な方にとっては 経験不足は機器で補える(ことが多い) ので、pH計(できれば常時計測式)の設置をおすすめします。

pHを下げるための一番簡単な方法としては、やはり「ピートで下げる」でしょうか。

コスパもよく、生体にも安全ですし。

逆に「pH/KHマイナス」などの商品名で売られているpH降下剤のほとんどは「リン酸」が主成分なので、水草水槽での使用は控えたいですね。
(→ リン(P)を水槽に入れたくない)

ピ-トについては、「粒状ピートの比較:エーハイム vs セラ」の記事もご参考に。

最後に:

CO2添加量が適切であれば、気泡が付かなくても 水草にとっては光合成しやすい状態になっているはずです。

気泡を見たいという人間側の都合 だけを優先することで 水草や生体に負担を掛けることがないようにしたいですね。

P.S.
CO2多めで水草を育成すると、葉がゴワゴワになりますよね。
しなやかさがなくなって、シャキシャキの野菜みたいになってくるのは個人的にはあまり好きじゃないかも。

P.S.2.
正確に言えば、水草の種類ごとに要求するCO2量、光量、肥料の量、・・・は異なります。
1つの水槽に多種類の水草を植えて それらをすべてうまく成長させる(光合成も含め)というのは数値では計れないので、これは経験を積み重ねていくしか方法はありませんね。
(かなり難しいですよね、アクアリストにとっての永遠の課題かもしれません)

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