「リン酸吸着剤でpHが上がる??」の記事で書いた内容の続きになります。
上記の記事では、
鉄系の吸着剤は 1モルの PO4 を吸着する(=水酸化鉄とリン酸イオンが反応する)ときに 1モルの OH- を放出し、逆に、活性アルミナや硫酸アルミニウムなどのアルミ系の吸着剤は 2モルの PO4 を吸着するときに 1モルの H+ を放出します。
今では アルミ系のリン酸吸着剤、シーケム(Seachem)のフォスガード(PhosGuard) を使用していますが、理屈通り、pHは変動しませんね。
と、ちょっと分かりにくい書き方をしてしまいましたが、
メリットとデメリットを簡単に言うと、
- 鉄系は 製品単価は安いが pHが上がる
- アルミ系は 製品単価は高いが pHは上がらない
ということですね。
KHが低くない水槽なら 鉄系でもそれほど大きいpH上昇はないと思いますが、私の水槽のように KH, GH, pH すべて低く維持しているような場合ですと pHが上がって困りますので 必然的にアルミ系を使います。
ここで 60cm規格水槽(淡水55L)を例として コスパ比較してみます。
製品名 | エーハイム リン酸除去剤 (鉄系) |
シーケム フォスガード (アルミ系) |
---|---|---|
通販価格 | 1,925円 | 2,510円 |
内容量 | 6包(計390g) | 250ml(150g) |
使用量 | 1包/55L | 12ml/55L |
使用単価 | 320円/55L | 120円/55L |
pH影響 | 有(上昇) | 無 |
エーハイム リン酸除去剤(6包入り:\1,925)は、「約50Lに1包使用」なので、60cm規格水槽(55L)なら 1包使用。
飼育水55L当たり 約\320 です。
一方、シーケム フォスガード(250ml入り:\2,510)の場合は「淡水400Lに85ml使用」なので、60cm規格水槽(55L)なら 12ml使用。
飼育水55L当たり 約\120 です。(容量1Lのものなら \90)
一見 \2,500オーバーのフォスガードが高価格に見えますが、実際は
飼育水量当たりのコストは エーハイム リン酸除去剤のほうが 3倍近く高い
ですね。
効果持続期間は、シーケム フォスガードは 約3~4ヶ月、エーハイム リン酸除去剤は 約3ヶ月、と ほぼ同じです。
また「シーケム製品をまたまた輸入」の記事でも書いたように、フォスガードを海外から買えば 使用単価はさらに半額!!
(私は 容量2L のものを購入しているのでさらに割安)
そういえば、チ○○ムさんの「シーケム フォスガード」の販売ページに
という画像が貼ってあり、店内でも使用していることをアピールしていますが、そういうこと(=コスパ重視?)なのかもしれませんね。
ということで、今回 コスパ比較してみたら自分でもビックリ、ここまで違うとは思いませんでした。
あとは「吸着力」ですが、強ければよいというものでもありません。
「ゆっくりと一定の吸着力で長期間もつ」が理想ですね。
一般的には鉄系のほうが吸着力が強いのですが、水槽内に多くのリン酸がある状態で鉄系を使うと 急激な水質変化によって生体に影響が出ることもありますので、初めて使うとき(=リン産濃度が不明なとき)や リン酸濃度が高いときは注意が必要です。
吸着スピードや持続期間などは個々の水槽環境によって変わってくるかと思いますので、鉄系・アルミ系、いずれにしても、まずは小容量の商品で試してみることをおすすめします。
なお、リン酸吸着剤の箱に成分(鉄系かアルミ系か)を書いてある商品はほとんどないので 見分け方を。
粒が赤茶色~黒色なら鉄系、白いビーズ状であればアルミ系 です、ご参考まで。
アルミ系リン酸吸着剤:シーケム フォスガードは規定量を守ろう
P.S.
チ○○ムさんの「シーケム フォスガード」販売ページの使用方法欄に書いてある記述(300Lに250ml使用)は誤りなので注意です。
(チ○○ムさんに連絡済み、そのうち訂正されると思います)
正しくは、海水200L または 淡水400L に 85ml使用。
2020.09.14.に上記販売ページの記述は訂正されましたが、商品パッケージ裏面に書かれている日本語ラベルの誤記(既に販売済みのもの)はどうするんでしょうか…。
P.S.2
エーハイム リン酸除去剤(→鉄系) の箱には、以前は「pHに影響を与えない」と書かれていましたが、最新のロットの箱(改訂版?)では「pHに 急激な 影響を与えない」に変更されてますね、こっそりと。
ただ、エーハイム本社のサイトのリン酸除去剤のページ(https://eheim.com/en_GB/aquatics/filter-media/chemical/phosphateout/phosphateout-130g)では「pHへの影響」については何も触れていませんね。
日本語版では何故 わざわざ書いているんでしょうか…。